2021.5.9
絶好の登山日和。前回の大丸山からわずか一週間ですが、帽子も被り本当によく歩いてくれるようになったチビツーの勢いを活かして、なるべく負担が小さく、かつ眺望の良いお山にチビツー自身の力で登ってもらいたいとの思いから、丹沢山塊表尾根の前衛峰、聖峰(ひじりみね)を目指すことにしました。
可能な限り短いルートを選びましたが、累積標高差はチビツーにとって過去最高。果たして登りきることができるのでしょうか?山頂からの絶景を拝むことはできるのでしょうか?
山行ルート
聖峰は丹沢山塊表尾根の前衛峰の一つです。聖峰登山口から登山道を進み、距離が若干膨らみますが勾配の緩い「女坂」ルートを進み聖峰不動尊を目指します。地図上の山頂(三角点)は不動尊よりもう少し登った場所にありますが今回は不動尊を山頂とし、九十九折の「男坂」ルートを下り下山します。
山行目的
総距離こそ2kmにも満たないショートコースですが、標高差はチビツー史上最高となります。短期勝負といえど男坂の急登は難しそうですし、女坂の緩慢な登山道は飽きてしまうかもしれない、そんなジレンマを乗り越えてくれるかが鍵となりそうです。
本日の山行目的
- チビツーに自力で絶景の山頂までがんばってもらう!
- 引き続き、帽子は被って・・・くれるよね?
聖峰登山口からスタート

Canon EOS 5D Mark IV + f/9 1/1000sec ISO-640 24mm
聖峰登山口付近には車3台分ほどのスペースがあります。この坂の少し上にも2~3台の駐車スペースがあります。

Canon EOS 5D Mark IV + f/5.6 1/1600sec ISO-320 24mm
非常に霞が強く出ていますが、すでにこの景色。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/400sec ISO-500 50mm
チビツーまだまだ余裕の表情です。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/400sec ISO-1600 70mm
聖峰までは1.1km。大人はもちろんチビワンにとっても楽チンな距離と勾配ですが、チビツーにとっては大きな難関となることでしょう。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/400sec ISO-1600 24mm
それでは張り切って入山です。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/400sec ISO-1250 57mm
ノッシノッシと闊歩。帽子も気になっている様子はなく、すっかり定着してきたようで嬉しく思います。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-2000 24mm
このあたりは決して急な勾配ではなく、歩きやすい登山道が続きます。

Canon EOS 5D Mark IV + f/14 1/60sec ISO-200 24mm
気持ちの良い新緑のトンネルの下を歩いて行きます。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-1600 38mm
前回の大丸山でも見せた、ポケットに手を突っ込んで歩く「不良歩き」。どうしても手を入れたくなってしまうんですよね。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/200sec ISO-800 70mm
なんてことは無い登山道なのですが、緩いとはいえ坂道である以上は多少なりともチビツーには負担のかかること。なかなか笑顔がでないのが少し不安になりましたが・・・

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/200sec ISO-640 70mm
そんな時にはお兄ちゃんであるチビワンが手を差し伸べてくれます。ナイスフォロー!

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-500 30mm
しばらく歩くと行く手を塞ぐフェンスが現れます。思わず「行き止まり?」とチビワン。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-320 59mm
これは獣害対策用の柵でした。獣害被害の多い丹沢山地ではよく見かける光景です。以前の大野山でもありましたね。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-400 44mm
「ちょっとー、どうなってんのコレー」と言わんばかりのチビツー
フェンスを越えて先に進みます。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-1250 70mm
この先は「ひじりの森」と呼ばれているそうですね。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-800 70mm
フェンスの先はしばらく平地なのですが、ここでようやくチビツーの笑顔が見られました。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-500 70mm
chibi-1
shoytomo

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-200 70mm
うっすらと頬を流れる汗がチビツーをより逞しく見せてくれました。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-640 32mm
緊張もほぐれてきたかな?

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/320sec ISO-800 32mm
さらにチビワンが盛り上げてくれます。

Canon EOS 5D Mark IV + f/6.3 1/250sec ISO-1000 24mm
ここは分岐というわけではないのですが、並走する右の道を行くと「山の神社」があります。ちょっとした祠があり、無事登頂を願ってお参りしたいところですが、なるべく短期勝負をしたかったので左の舗装路を進みます。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/250sec ISO-500 55mm
なにやらチビワンが儀式を執り行っております。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/250sec ISO-800 55mm
大好きなやつ(笑)。闘魂注入の儀でした。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/250sec ISO-1000 24mm
さらに両手を繋ぐことで元気いっぱい。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/250sec ISO-1000 24mm
楽しそうでなにより!(ピンぼけですが)
この調子で女坂を無事に攻略できるかな!?
女坂での奮闘。長かった600m

Canon EOS 5D Mark IV + f/6.3 1/250sec ISO-1600 24mm
ここは女坂と男坂の分岐点。舗装路の道なりに右(まっすぐ)に行くと女坂。左斜め方向に山道を登ると男坂。男坂はチビツーには急すぎると思い、女坂を進むことにします。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/250sec ISO-250 70mm
なぜ片方が距離でもう片方が時間なのかわかりませんが・・・
聖峰まで600m。こうやって数字を見るとすぐに着いてしまいそうなイメージなんですけどね。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/250sec ISO-200 62mm
チビワンにしっかり手を繋いでもらい、女坂に臨みます。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/250sec ISO-2000 39mm
のんびり歩くには本当に気持ちの良い道ですが、チビツーは少々疲れてきた様子・・・。

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/250sec ISO-1250 70mm
今までの経験からすると、チラチラとまわりを見るようになったというのは集中力が切れてきた証拠。

Canon EOS 5D Mark IV + f/6.3 1/250sec ISO-8000 24mm
定型発達児(=健常児)であれば、こんな壁を見て「おぉ~!」とかなったのかもしれませんが、チビツーにはそれができません。

Canon EOS 5D Mark IV + f/5.6 1/250sec ISO-1000 24mm
すでに女坂の6割ほどは登ったのですが、このあたりでチビツーから不満の発声が止まらなくなります。

Canon EOS 5D Mark IV + f/5.6 1/250sec ISO-1250 66mm
そんな時は釣りだ!というチビワンの提案でヌードルをエサにしましたが効果無し。。。出すのが遅かったかな?
未来予測の困難

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/500sec ISO-800 45mm
後ろからなので表情はわかりませんが、もう今にも泣きだしそうだったのです。
チビツーには、「もう少し」とか「あと○○で終わり」という未来の予測や提示が非常に困難です。これが意味するのは「いつ終わるのかもわからない」ということ。本当に、上の写真の先に見える道の終点が山頂なのですが、それを伝える術がありません。これも重度の知的障害の厳しい現実です。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/6.3 1/500sec ISO-640 70mm
チビワンがラストスパートダッシュ!

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/6.3 1/500sec ISO-320 70mm
「ここがゴールだよー!」とヌードル片手にチビツーを鼓舞しますが、残念ながら効果は無く・・・
チビツーには、知的障害に加えて、自閉症特有の「こだわり」というものも出る時があります。本来であれば疲れて動けないのなら私が抱っこのポーズを見せればそれを受け入れるのですが、この時はどうあっても「拒否」でした。
一見「自分の足で頑張る!」のように見えなくもないのですが、これはあきらかに「自分がこうやると思ったら絶対に譲らないこだわり」。聞こえは悪くないかもしれませんが、自分の意志でも制御できないというのが何よりも酷なことなのです。
休むことも拒否、抱っこも拒否。
このことから、ここまでの負荷のかかる登山はNGということ。山頂まであと1分にも満たない距離だったのが幸いですが、これは一つの目安になりました。
苦難の末、辿り着いた山頂

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/9 1/500sec ISO-160 24mm
午後11時28分。チビツーにとって長い長い坂道を乗り越えて、ついに山頂に到着しました。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/9 1/500sec ISO-640 24mm
これが聖峰不動尊です。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/8 1/400sec ISO-100 24mm
反対の東側を向くと、相模平野を見渡す眺望。霞が強いですがそれでも十分見ごたえがあります。

Canon EOS 5D Mark IV + f/22 30sec ISO-100 67mm
ちなみにこれは去年私がナイトハイク的に歩いたときに同じ場所から撮影したものです。大人の足なら登山口からは30分もかからないので、ヘッドライト持参で登ってみるのもオススメです。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/9 1/800sec ISO-400 24mm
さぁがんばったご褒美、大好きなヌードルを食べましょう。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/1000sec ISO-125 28mm
本当によく頑張ったね。ヌードルはもちろん、お稲荷さんもしっかり二個食べてお腹も満たされ、ようやく落ち着きを取り戻したチビツーでした。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/1600sec ISO-200 70mm
元気も出てきて、山頂で楽しく遊べる余裕も出てきました。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/1600sec ISO-250 64mm
やっぱりコレだよね!

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/1600sec ISO-2000 57mm
嬉しそうな笑顔が一番!

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/11 1/320sec ISO-250 24mm
見てごらん。自分の足で頑張って登って手にしたこの眺望。チビツーの瞳にはどう映ったのかな。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/2500sec ISO-500 57mm
この後も元気に山頂を駆け回っていましたが、下山の体力が無くなっても困るのでそろそろ下山を開始しましょう!
下山は男坂で

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/2500sec ISO-640 47mm
下山は男坂を下ることにします。山頂周辺はツツジが綺麗に咲き誇っていました。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/2500sec ISO-320 44mm
まさに花道ですね。チビツーの頑張りを祝福するかのよう。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/2500sec ISO-500 24mm
男坂は急勾配ではありますが、九十九折になっているので登山道自体はさほど辛くはありません。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/2500sec ISO-320 24mm
こうやって見るとわかりやすいですね。もっとも負担の少ない歩き方ができます。
考えてみれば短期決戦をするなら男坂でも良かったのでは?と思いましたが・・・答えを出すのは難しいところですね。けどいつかはチャレンジしてみたいですね。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/2500sec ISO-3200 47mm
谷側をしっかりチビワンにカバーしてもらいました。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/2500sec ISO-2500 55mm
あまりにも狭いところはチビワン先行で。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/640sec ISO-2500 42mm
チビワンに手を繋いでもらうことで、精神的負担は少なからず軽減されていると思います。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/640sec ISO-1600 24mm
時には先導して・・・

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/640sec ISO-2000 70mm
時には構ってあげて、親バカですが本当に弟想いのよいお兄ちゃんだなぁと。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/6.3 1/400sec ISO-2500 24mm
その甲斐もあって、あっという間に男坂・女坂の分岐まで戻ってきました。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/400sec ISO-1000 62mm
ここからは下りパワー全開です。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/400sec ISO-1000 24mm
歩きながらの笑顔もバッチリ。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/400sec ISO-640 24mm
これまたあっという間の鹿よけフェンス。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/400sec ISO-800 24mm
チビワンのエスコードで通り抜けます。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/400sec ISO-1000 59mm
開けたら閉めるを忘れずにね。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/400sec ISO-1600 70mm
ここまで来ればゴールは目前。下りということもあってついに小走りのチビツー。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/400sec ISO-800 70mm
それを追うチビワンに・・・

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/400sec ISO-1600 70mm
捕まったぁ~(チビワンの大好きな「逃走中」風に)

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/400sec ISO-1600 41mm
一時はどうなることかと思いましたが、ショートコースといえどゴールを目前に感慨深いものがありました。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/320sec ISO-1250 57mm
登山口に到着です。

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/5.6 1/400sec ISO-100 27mm
午後12時36分。無事下山しました。お疲れさま!
チビツーはよくがんばったね。チビワンもしっかりフォローありがとう!
振り返って
帽子もずっと被ってくれたし、何よりもこの標高差を登りきってくれましたが、良くも悪くもチビツーの限界を知った登山でした。当面は同じ負荷のお山も避けた方がいいでしょう。悪いイメージを持たせないためにも暫くは超お手軽なお山、というかピクニック程度に抑えた方が今後のためかと。
それはそれで、一つの目安ができたということで大きな収穫のある登山だったと思います。
山行データ
- 出発時刻 / 高度: 10:33 / 173m
- 到着時刻 / 高度: 12:36 / 173m
- 合計時間: 2時間3分
- 合計距離: 1.76km
- 最高点の標高: 345m
- 最低点の標高: 166m
- 累積標高(上り): 170m
- 累積標高(下り): 169m
Reliveで山行振り返り