長らく愛用しているCanonの旧型小三元レンズ。コスパの良さと山岳風景撮影との相性の良さについてまとめてみました。
山岳風景撮影における「ベストな解」ではなく、とっつきやすく入手もしやい「そこそこ最適解」という位置づけです。
目次
ズームに頼らざるを得ない山岳風景撮影
私は単焦点レンズが好きなので、街中でのスナップ撮影や子供たちとの登山、あるいは意図的に特定の画角に限定した習作撮影を除けば、基本的にはすべてズームレンズでの撮影になります。
好みで言えば圧倒的に単焦点レンズですが、登山道という限定された足場で撮影せざるを得ない山岳風景撮影では、どうしてもズームレンズに頼らざるを得ません。
そこで、私が愛用している小三元の紹介と登山にどう適しているのかについて触れてみたいと思います。現在私が使用しているのは以下のレンズです。
Canon旧型小三元
- EF17-40mm F4L USM
- EF24-105mm F4L IS USM
- EF70-200mm F4L IS USM
比較的に入手しやすい旧型小三元
そうは言っても、ことCanonフルサイズ一眼向けのレンズとなるとお財布事情も気になるトコロ。いくら小三元と言ってもLレンズである以上それなりの出費は必要ですが、これくらいの型落ちであれば中古相場でもまだまだ良品以上の程度のものが入手可能です。
モデル | 新品価格 | 中古相場 |
---|---|---|
EF17-40mm F4L USM | \120,000 | \50,000程度 |
EF24-105mm F4L IS USM | \145,000 | \50,000程度 |
EF70-200mm F4L IS USM | \158,000 | \60,000程度 |
※税抜価格。中古相場は商品のコンディションを”良品”程度とした時の金額目安です。
いまさら型落ちの、しかもEFレンズにこれだけ投資するのはレアかもしれませんが、Lレンズを手っ取り早く入手してお手頃に始めるのであれば、選択肢としてはありかもしれません。
撮影山行に適したスペック
17mm~200mmまでの焦点域をカバー
この3本で広角域から望遠域までをカバーできます。欲を言えば14mmくらいまではカバーしたい気もしますが、”お手軽”に留まるのであればここはひとつ我慢しましょう。エクステンダーも加えれば実質は280mmまでカバーできるので、風景撮影には十分です。
実際この焦点域がカバーできる画角で写せる風景は以下のような感じです。
F4通し
F値が低い明るいレンズであるに越したことはありませんが、山岳風景撮影においては特殊な条件下を除けばF4未満の開放が必要になることはあまりありません。焦点距離に応じてF値不変の「通しレンズ」であることで私は十分だと思っています。
防塵・防滴
屋外の撮影がメインになるのでやはり防塵・防滴機能は欠かせません。Canonのラインナップでは防塵・防滴配慮がなされたレンズは基本Lレンズだけなので、この機能を考えるとどうしても選択肢はLレンズになってしまいます。※完全防水ではないので別途シェルカバーなどの併用が必要です。
軽量
登山を行う以上、荷物は軽くなるに越したことはありません。旧型小三元は3本合わせても2kg以下という身軽さです。かなり重量に難がある雲台と三脚を持ち歩いているので、この軽さで抑えられるのはとても有難いです。
焦点域 | 最新大三元 | 最新小三元 | 旧型小三元 |
---|---|---|---|
広角 | 790g (EF16-35mm F2.8L III USM) |
615g (EF16-35mm F4L IS USM) |
475g (EF17-40mm F4L USM) |
標準 | 805g (EF24-70mm F2.8L II USM) |
795g (EF24-105mm F4L IS II USM) |
670g (EF24-105mm F4L IS USM) |
望遠 | 1,480g (EF70-200mm F2.8L IS III USM) |
780g (EF70-200mm F4L IS II USM) |
760g (EF70-200mm F4L IS USM) |
合計 | 3,075g | 2,190g | 1,905g |
これは旧型に限った話ではありませんが、小三元の70-200mmのF4通しレンズの軽さにはやはり目を見張るものがあります。私も初めて持った時にはその軽さに本当に驚きました。
ISユニット
手振れ補正(IS)は子供が動き回る姿などを撮影する際には大いに役に立ちますが、山岳風景撮影においてしっかり撮影する際にはまず三脚を使用しますし、私はそれほど重視していません。
とはいえ場所によっては三脚を広げることすらできないこともあるので、手持ち撮影を行う時にはあると安心。ISユニットが搭載されているのはこの小三元では24-105mmと70-200mmのみで、17-40mmには搭載されていませんが、広角域でISが無いことによる影響はそれほど大きくはありませんので、ISユニットが無いぶん軽量化されたと都合の良いほうに捉えることにしています。
アクセサリ対応
各種フィルターとステップアップリング
ND、C-PL、ソフトフィルター、プロテクターフィルターなど、各種フィルターを使いますが、レンズごとにフィルターを揃えるのはかなりの出費になってしまいます。その点では、17-40mmと24-105mmはフィルター径が77mmとなり、各種フィルターを共用できるのが嬉しいです。
これら旧型小三元に限った話ではありませんが、フィルター径の違うレンズに対してはステップアップリングを使っています。フィルターを購入するときは、保有している中で最も径の大きいレンズに合うフィルターを購入し、ステップアップリングを使って小さな径のレンズに使用することができればベスト。ただしフードの大きさによっては取付できない場合もあるのでご注意。
レンズケース
登山というアウトドアフィールドでの運用となればレンズケースは避けられませんが、ここもやはり統一できるのであれば統一したいところ。
基本的には後述するレンズフードも装着したままの運用になるので、レンズケースはフード込みの寸法で収納できるものを選び、かつそれらを使いまわせるとベター。私はハクバのレンズケース「ハードボトム02」を愛用しています。フードの大きさを考えると径が110以上のものを選ぶ必要があります。
サイズですが、17-40mm および 24-105mmには「110-140」、70-200mmには「110-180」を使用しています。大は小を兼ねるということではすべて「110-180」にしてもよいのですが、なるべく費用は押さえたいので。
レンズフード
フレアやゴーストなどを避ける目的以外でも、岩場での接触などから避けるためにもレンズフードは常用したいところです。フード常用となると、フード分の径が広がるため、それに合わせたレンズケースが必要になります(上記)。
特に17-40mmのフードはEW-83Eという非常に大きなもの。APS-C時代はEW-83Hというフードの両端を切り落として使用していましたが、フルサイズにしてからはどうあってもケラレてしまうので戻しました。辛うじてレンズケースへの収納が可能なのがせめてもの救いです。
70-200mmのフードはサードパーティ製。標準同梱のフードが花形じゃないから・・・というけしからん理由で変えてしまいました。純製に比べればもちろん厳密な違いはあるのでしょうか、私にはわかりません。。。
画質は・・・
こればっかりは旧型モデルである以上、スペック面では最新型には敵いませんが、これはこれで、この子たちの個性だと思うようにしています。作例を比較してみればもちろん違いはでますが、ン十万も投資して得たいというものではありません。
そもそもLレンズのコンセプトは次のモデルが出たらお払い箱というものではありません。その時代時代の技術を最大限に惜しみなく注いだ「個性」を何年も生かせるからこそのLuxuaryだと思っています。発売当時に撮影した絵と感動が、新しいレンズによって掻き消されるわけではないのと同じです。
・・・と、半分は無理やり自分を言い聞かせていますが、半分はやはり「Lレンズとはそういうも」だと思っているというところでもあります。
まとめ
登山におけるこれら「旧小三元」は、トータルコストバランスを考えてもまだまだ十分「使える」ものだと思います。何より気軽に使えるというのが精神衛生上とても良いです。登山においてそれは結構重要だったりしますので。
冒頭でも触れましたが、山岳風景撮影における「ベストな解」ではなく、とっつきやすく入手もしやい「そこそこ最適解」という位置づけで考えると心強い相棒たちになるのではないでしょうか。
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