2019.4.3
前日の仕事をなんとか日が変わる前に終わらせ、深夜から本栖湖にて星景撮影を行ってきました。久々の星景撮影でしたので、出来高は多くありませんが作例を元にポイントを備忘録としても残しておきたいと思います。
目次
撮影地は本栖湖畔
平日の深夜にも関わらず1:30の到着の時点ですでに10人近くのカメラマンさんがスタンバイされていたのは驚きでしたが、この場所は千円紙幣裏の富士山が撮影された場所のすぐ近くという人気スポットの上、星景撮影をするには絶好の条件となる日だったことを考えればそれも頷ける状況でした。
撮影場所から歩いて3分ほどの所にトイレもあるので、寒い時分の夜間には重宝します。ちなみにこのトイレ隣のベンチ、マンガ「ゆるキャン△」でなでしこちゃんが寝ていた所です(笑)
星景撮影のポイント1:ロケーションとタイミング
ここは星景撮影に的を絞ったサイトではないので詳細は他のもっと詳しいサイトに譲りますが、ポイントについて少しだけ。
ロケーションとタイミングのポイント
- 星の位置
- 天候
- 月齢
① 星の位置について。地上の建造物などの被写体とセットで撮影するのが星景写真であるとすれば、特定の地点から被写体を見た時、いつ・どの方角/高度に目標となる星・星座が出現するかを予想しておく必要があります。せっかく好条件で天の川が現れたとしても、被写体とは真反対に出てしまったら魚眼レンズでも使用しない限りセットで撮影することはできません。StarWalk2といったスマホアプリなどで簡単に予測することは可能です。
② 天候について。全国的に晴れていて雲が少ないに越したことはありませんが、部分的な晴れであっても星景撮影は可能です。撮影地から被写体までの間に雲が無いことはもちろんですが、星景撮影である以上被写体の背後にも雲が無い状態である必要があります。登山でも使えるGPV/SCWや、最近知名度が一気に上がってきたWindyなどでチェックしておくとよいでしょう。
③ 月齢について。星景は長時間露光での撮影となります。月の明かりはたとえ画角の外にあっても大きな光源となってしまので、月光の影響が極力小さい日を狙ったほうベター。新月であることに越したことはありませんが、そこまで都合よく新月に合わせることも難しいでしょうから、せめて月齢27以上、4未満くらいの夜を狙うと良いでしょう。ただし、高度がマイナス(地平線の下)である場合は月齢は実質気にしなくていいと思います。
星景撮影のポイント2:撮影設定
詳細は割愛しますが・・・設定に関して少々。
撮影設定のポイント
- F値:開放 or 開放から1段落とす
- ISO:1600~6400
- SS:20~35秒
- 画角:~35mm
① F値について。真っ暗な夜空の撮影なのでF値は低いに越したことはありません。開放での減光が気になる場合は1段(余裕がある場合は2段)ほど落としましょう。Lightroomのレンズプリセットによる補正はかなり有効なので、レタッチすれば気にならない程度であれば開放で。F1.4~F2.8くらいまでのレンズが理想ですが、F4通しレンズなどの場合はISOやSSなどで調整しましょう。
② ISO感度について。エンジン性能にもよりますが、3200以下には抑えたいところです。そこそこノイズに強いボディを使っている、あるいはどうしても絞りに限界がある場合には6400もアリです。
③ シャッタースピードについて。星を意図的に流す場合を除き、点像として撮影したいのであればSSは一般的には20~30秒と言われていますが、これは500ルールに基づきます。星は常時動き続けているのでたとえ20秒であっても厳密には星は流れてしまいますが、画角によっては解像した際に星が流れないシャッタースピードの上限というものがあり、それを算出するのが500ルールです。
500 ÷ 焦点距離(mm) = シャッタースピード(秒)
焦点距離が16mmの場合、
500 ÷ 16(mm) = 31.25… ≒ 30(秒)
となり、35mmの場合は
500 ÷ 35(mm) = 14.28… ≒ 15(秒)
となります。
④ 画角について。星空の撮影では~24mmくらいまでの広角~超広角域のレンズが一般的です。実際の作例を見ても広範囲の星を撮影できるので、これぞという感じの仕上がりになります。
これが24mm。私はF4通しのレンズしか持っていないので、ISOを少し高めに設定し、500ルールに従って露出時間は20秒(500÷24mm≒20sec)です。天の川はもう少しくっきりと写したかったのですが、これが限界でした。
一方で、35mmという選択肢も不可能ではなく、撮影するとまたダイナミックな切り口が可能になります。
これが35mm。その狭い画角のために、ヘタをすると富士山と天の川を両方35mm画角に収めることができなくなりますが、そこは今日という絶好の日。富士山の真上を天の川が通過する日だからこそ狙うことができるのでした。
35mmで星が流れないようにするには先の500ルールからするとSSはたったの15秒しかありません。画角を狭くすればするほど、明るいレンズまたは高ISO感度が必要になってきます。
ちなみに上の写真はEF35mm F1.4L II USMにて撮影しましたが、BRレンズはこういった状況でこそ真価を発揮するのだと実感した瞬間でした。コマ収差や色収差がほとんど目立たず、気持ちの良いスッキリとした写りになっています。撮影時点では周辺の現行と歪曲がやや気になりましたが、そこはLightroomのプロファイルにて修正すればまず気になることはありません。
星景撮影のポイント3:機材・備品
必要な機材・備品
- 三脚(必須)
- レリーズ(必須)
- 防寒具(必須)
- レンズヒーター(ほぼ必須)
- Lプレート(オプション)
- ソフトフィルター(オプション)
- 赤道儀(オプション)
①の三脚は言うまでもありませんが、雲台の種類によっても利便性は変わるかと思います。私は例によって今回もManfrottoのギア雲台です。
②のレリーズも必須ですが、最近ではリモートレリーズが無くてもWi-fi経由で操作できるカメラがあるので、暖房の効いた暖かい車内からシャッターを切るというのも手です。
③の防寒具、夜間で星空の綺麗な場所=光害が少ない=山奥などが多いので当然寒いです。防寒具は登山のものと共用でOKです。オイルカイロなどもオススメ
④のレンズヒーターは屋外、特に山中などではほぼほぼ必須だと思っています。これは夏も冬も問わずです。一度結露でレンズが曇ってしまうとリカバリするのは(私の経験上)かなり困難です。それほど高価なものでなくても私は十分でしたが、信頼性に不安がある場合は予備を持っていた方が安心です。私はUSBバッテリーを基本携行しているので、ヒーターもUSB給電に対応しているものがオススメです。
⑤Lプレートは必須に近いオプションです。縦構図で撮影する場合、個人的には必須だと思っています。Lプレートについては別途記事を参照ください。
⑥ソフトフィルターは状況によりけりですね。詳細は後述。
⑦星を”点像”で撮影する場合、赤道儀はあれば撮影の幅が広がりますが、なくても十分撮影は可能です。
ソフトフィルターの功罪
今回、星景撮影ということでソフトフィルターも使用しました。ソフトフィルターは星景撮影においては強い光をさらに滲ませ大きくする効果があるため星の光にメリハリのある仕上がりになります。
あまり多くを試してはいないのですが、私はケンコーのPRO1シリーズのソフトフィルター「ソフトンA(W)」を使っています。
ただ、星景撮影におけるソフトフィルターにも功罪があります。純粋に星空を撮影するのであれば、周囲の星とのメリハリがついてより”星座感”も出ますが、天の川を主題にするのであれば周囲の明るい星が際立ちすぎてしまいます。
富士山の右上方向で一番強く輝いているのは木星ですが、はっきり言って天の川より際立っています。また、麓の人工照明までもがソフトンの効果を得てしまい、ますますワケのわからない訴求力。使いどころを見極める必要がありそうですね。勉強になりました。とはいえ久々の星景撮影でしたのでまずまずの満足度です。
タイムラプス動画の出来高は・・・
そしてタイムラプス撮影にも挑戦してみました。星空が対象となるタイムラプスは私も初めてですが・・・
空が白ずむ4時を終了目標とすると残り時間はわずか30分程度。なにせ露光時間が20秒にもなるので、撮れ高が少ない!結局30分撮影した結果、できたのはたった3秒にも満たない動画でした(泣)
まぁ、そこそこ綺麗に撮れただけでも良しとしましょう。
まとめ
撮影記録なのかノウハウ備忘録なのかよくわからない記事となってしまいましたが・・・ご参考までに。
また近く、撮影に行けたらと思います。
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