2020.3.21
夕方~日没後とか、深夜~夜明けとか、あるいは徹夜明けの睡眠時間を削るとか、最近はすっかりそんな山行ばかりになってしまいましたが、そんな時間帯にこそ素晴らしい景色は待っているもの。
それを改めて確認するため、深夜~早朝時間帯の丹沢大山に行ってきました。
山行ルート
ヤビツ峠からイタツミ尾根を歩きます。終盤は阿夫利神社下社からのルートと合流し(25丁目)、上社となる山頂を目指します。一部痩せ尾根や鎖場歩行もありますが難易度の高いものではありません。
トータル1時間10分ほどの行程で、いくつかあるルートの中でも登山口から山頂まで最短でアクセスできるルートです。
山行目的
光害が強い場所で星景撮影はどこまでできるのか確認したいところ。山頂からの絶景は光のグラデーションをじっくりと楽しみたいと思います。
本日の山行目的
- 南の空の天の川を撮影する!
- 山頂からの絶景を撮影する!
- ブルーモーメントから夜明けまでの移り変わりを楽しむ!
ヤビツ峠より登山開始
午前3時、ヤビツ峠駐車場に到着しました。週末はあっという間に満車になる駐車場ですが、この時点では5~6台ほど。山小屋泊をされてる方のものでしょう。1台だけ車中泊をされているようでした。こんな深夜の山奥ですが、車のエンジン音が聞こえるだけでもなぜか安心してしまうのがナイトハイクあるあるですね。
ヤビツ峠の正規の駐車場に駐車できるのは25台ほどですが、週末は早朝から満車になります。一応、駐車場周辺にはいくつか駐車スペースがありますが、非正規なので交通の妨げにならないよう留意してください。
ここはトイレもあり、しっかりと灯りもあるので安心できます。ありがたいですね。
ヤビツ峠は、主稜となる塔ノ岳方面、岳ノ台・菩提峠方面、大山方面、蓑毛方面への四叉路起点となっています。大山までは2.3km、時間にして約1時間強。真っ暗闇の中歩くことを考えると少し長めに時間を取っておくとよいでしょう。
道中は真っ暗なのでその他の写真はありません・・・。途中、一人の登山者とすれ違いました。恰好からするとランナーの方でしょうかね。この時間この場所ですれ違うということは、きっとこれから丹沢主稜方面に向かっていくのかなと予想しましたが、お互い好きモノだなぁと(笑)
50分ほど歩くと、25丁目にて下社からのルートに合流します。山頂までは300mという案内ですが、ここからは勾配もきつくなり、最後の最後で地味にキツかったりします。
山頂到着、関東平野の絶景
午前4時過ぎ、大山山頂に到着しました。ほぼほぼCT通りの到着となったので上々です。南の空を見上げると蠍座を見つけたので天の川のおおよその位置はわかりましたが、やはり秦野方面からの光害が酷く・・・
写真左上から右下に流れる天の川をわずかに確認できました。RAW現像時にかなりレタッチしてこの程度。やはり丹沢だとこのくらいが限界でしょうかね。
でもまぁ、撮れ高がゼロではなかったので良しとしましょう。
星景撮影をするなら月明かりも考慮しなくてはなりません。この日の月齢は26.5(若潮)。新月であることに越したことはありませんが、元々の光害のお陰で星景は半ば諦めていたところがありました。となればこのくらいの月は夜景撮影には良いアクセントとなるので、タイミングとしては良かったと思います。
月齢に関してはコチラのサイトでよく利用させて頂いております。また、シンプル月齢カレンダーというスマホアプリも参考にしています。
山頂標のある広場からだと樹木によって景色が遮られてしまうので、少し見晴台方面に降りた広場からの撮影が最も良い眺望となります。
こちらがその景色。まるで宝石箱ですね。ひと月ほど前に同じく丹沢で大山の近辺にある低山の聖峰(ひじりみね/標高約360m)にて夜景撮影を行ったのですが、3倍近くの標高となるここからだと奥行きも広がりを見せてくれます。
エクステンダー(テレコン)のX1.4を装着して280mmでの撮影すると東京スカイツリーも確認できました。それにしても近辺の航空障害灯の多いこと・・・。
ブルーモーメントと空のグラデーション
午前5時、東の空が明るくなってきました。いよいよブルーモーメントの始まりです。
漆黒の空では味わえない素晴らしい眺めです。
次第に空の青は薄くなり、朝陽を予感させる赤が強くなり、街明かりはその役目をゆっくりと終えていきます。
相模湾の湾岸線がかなりくっきりと見えるようになってきました。
日の出直前。この瞬間もいいですね。
午前5:46、日の出です。
わずかな霞のお陰で、まるで日没時のような力強さを感じる朝陽です。
“幻光の街”という表現が合いそうな光景です。
深夜から同じ場所で同じ方向を見てきましたが、それぞれ全く別の表情を見せてくれました。この時間帯だからこそ目にすることができる醍醐味と言えますね。
下山、イタツミ尾根Re-Cap
午前7時、惜しみながらも山頂を後にします。山頂から建物群の裏手に出ると、二ノ塔、三ノ塔から始まり、主稜線の塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳方面を臨むことができます。その向こうには富士山。雲は無いもののこの時期特有の霞が強く。クッキリとは映りませんね。
陽が昇ったのでイタツミ尾根を再検証しながら下山することにします。
まずは山頂直下25丁目の分岐。イタツミ尾根(ヤビツ峠方面)は右に。左は下社(ケーブルカー)方面です。
イタツミ尾根は下社方面と違って日中でも人が少なく、静かな山歩きを楽しめます。この木道はいかにも丹沢らしい道ですね。
途中数か所ある開けた場所では相模湾や箱根方面を良く見渡すことができます。
イタツミ尾根は勾配もそれほどきつくはなく、このようにフラットな箇所や休憩用のベンチなども多く、子連れ登山でも十分楽しめるルートだと思います。
イタツミ尾根唯一の鎖場。難易度は高くありませんが、ナイトハイク中の真っ暗闇の中では普段以上の注意が必要です。
特に、この鎖場近辺は九十九折れに曲がりくねっており、主に正面を照らすヘッデンの光だと曲がる箇所を見逃しやすくなりますので気を付けてください。
痩せ尾根もいくつかありますが、ここは一部崩壊していたのですね。往路では全く気づきませんでした。
かわいいお地蔵さん達に、道中の無事を見守っていただきました。
力強い朝陽を浴びて映える苔。
この時間帯ならではの強いコントラスト。
この気持ちの良い笹原道がビクトリーロード。
ヤビツ峠前の桜。ついに開花しましたね。もう春です。
今シーズン初となる馬酔木(アセビ)。もっさりと特盛。
午前7時、ほぼほぼ予定通り、ヤビツ峠に下山しました。この時間だともう駐車場は満車でした。多くの方が準備を整えこれから入山されていくようです。
振り返って
丹沢大山ブルーモーメント。想像以上に素晴らしい眺めでした。山頂ではコーヒーを淹れましたが、あまりにも景色の移り変わりが早く、ゆっくりとコーヒーを啜るということもできませんでしたが、それだけ一刻一刻が贅沢なものであるということの証左なのでしょう。素晴らしき山行に、今日も感謝です。
いつもの繰り返しになりますが、ナイトハイクを伴う撮影山行はリスクを伴うものです。十分な事前計画・準備(特に防寒・夜間装備)のもと臨むようにしてください。
山行データ
- 出発時刻 / 高度: 03:06 / 776m
- 到着時刻 / 高度: 07:04 / 776m
- 合計時間: 3時間57分
- 合計距離: 4.97km
- 最高点の標高: 1230m
- 最低点の標高: 770m
- 累積標高(上り): 468m
- 累積標高(下り): 458m
Reliveで山行振り返り
最近のコメント