2020.1.31
前回の山行を最後に、我が家では子供たちが心身ともに色々と変化があり、すっかりブランクが開いてしまいました。
山充電はとっくに底を付いていたにもかかわらず何となく踏ん切りが着かなかったのですが、1月の最終日に何とかその一歩を踏み出すことができました。
最乗寺からの明神ヶ岳ルート。今は亡き私の父が最も多く登ったとされるルートだったのでした。
目次
山行ルート
最乗寺(道了尊)から箱根外輪山主稜線に向かって尾根伝いを歩くルートです。一部を除き緩やかな勾配ですが、その分距離は長めで標準CTだと6時間弱。樹林帯がメインで外輪山主稜線に出るまでは展望が開ける場所は少なく、子連れ登山として歩くコースとしてはあまり適していません。
しかしながら箱根外輪山では珍しく水場が二箇所ルート上にあり、あまり登山者も多くなくじっくりと箱根の山を楽しむことができます。
山行目的
夕方からの仕事を考えて、14時までには下山したいところ。あまり時間に追われたくはありませんが可能な限り山歩きを楽しめればと。
本日の山行目的
- 父が愛したルートをじっくりと堪能する!
- 父のこと、子供たちとの記憶を辿る!
- 新調した登山靴の試運転!
最乗寺より登山開始
最乗寺に到着したのが午前7:30。パッキングなどを全くしておらず、駐車場でいそいそと準備をしているうちに8:00になってしまいました。まぁ一応、計画としては8:00出発としていたので、ギリセーフといったところでしょうか。駐車場からは参道に出て登山道に行くこともできますが、スタートらしいスタートを切りたかったので正面まで降りてきました。いよいよスタートです。
画面右手へ進むと駐車場、参道は左手の桟橋を渡ります。
ここが参道の起点。左手の休憩スペースに繋がれていたワンコにめっちゃ吠えられてしまった・・・。
橋を渡ってすぐ左手にキレイなトイレがあります。
最乗寺起点の明神ヶ岳ピストンルート上にはトイレがありませんので、ここでキッチリ済ませておいたほうが吉です。
とはいえそれでも私はトイレが近いのでいずれにせよ携帯トイレが無いと不安で仕方がないのですが・・・。
最乗寺近辺の杉はとても幹が太く、そんじょそこらの植林された杉とは年季の違いを見せつけてくれます。600年以上の歴史を持つ最乗寺と共に年輪を重ねてきたのでしょうね。
ひっそりとした雰囲気の登山道へ
参道を逸れるといよいよ登山道となり、明神ヶ岳へのハイキングコースへ入ります。
道標中心にある「明〇〇」は山頂直前まで続いています。(ちなみに山頂直前は19です。道程の目安にもなりますね)
樹林帯に入りました。このルートは終始なだらかな箇所が多く、冒頭からこのルートを象徴するような景観となります。
十二体のお地蔵様が鎮座。由来などはわかりませんが、それぞれ意味があるのかもしれないですね。道中の無事を祈願。
箱根の中でも賑わう金時山方面と異なり、ひっそりとした登山道が続きます。
私ではこれらの使い方はわかりませんが、少なくともこれがゴミ箱でないことくらいはわかります。中をのぞいた時に空のペットボトルが沢山入っていたことがわかりとても残念に思いました・・・。
しばらく歩くと林道を跨ぎます。ここで不思議な既視感。そもそも父と歩いた山のことは覚えていないことのほうが多いのですが、明神ヶ岳も宮城野方面からのことしか記憶にないので、ここで既視感があるのは少し驚きでした。
林道を越えてもまたしばらく同じような樹林帯が続きます。
もう一つの林道。ここは既視感なかった・・・。
階段を抜けていきます。ここは林道も舗装されているし階段も手がかかっている感じです。
こうやって見ると尾根を横切るように林道が作られているんですね。そして意外だったのが沢の数。
歴史を語ることのない廃墟たち
林道から10分ほどで明神ヶ岳見晴小屋跡に着きます。風化による破損はそこそこ。営業していたころのこの小屋を父は知っていたのでしょうか。若き日の父を知る従叔父に機会があれば訪ねてみたいですね。この小屋の歴史も聞けるかもしれません。
明神ヶ岳見晴小屋という名前ですが、見えるのは明神ヶ岳ではなく丹沢の山並み。雪が付いているのは蛭ヶ岳か丹沢山あたりでしょうか。
そしてまたしばらく杉の並木道を進みます。
何かのリフトのような基地の跡地。どのような目的で作られたのか、廃墟は何も語ってはくれませんでした・・・。
しばらくすると視界が開けました。カヤト?の気持ちよさそうな尾根道です。
これも先ほどの廃墟と繋がっていたものでしょうね。歴史が気になります。
色付き始めた蕾。「その時」を待ちます。ヒトの作ったものは手をかけなければ朽ちていくばかりですが、自然はこうして命を繋げながら歴史を中を生きていきます。
西側を向くと相模湾が見えました。不思議な雲の配置だったようで神々しささえ感じられました。
新明水と・・・明神水はどこ??
しばらく進むと、神明水と呼ばれる水場があります。私の知る限りでは正式に”水場”とされる場所があるのはこの明神ヶ岳最乗寺ルートのみ。先ほどの林道案内図で数々の沢があることを知りましたが、水場らしい水場がここだけというのも不思議な感じがします。
登山道を逸れるわけではないので、気兼ねなく立ち寄れます。
豊富というほどではありませんが、十分な水量です。しかしこの水場に限らずですが、塩ビ管から流れてくるというのはどうしても慣れないです・・・。
明13のあたりです。この先にもう一ヶ所水場があり、山と高原地図では「明神水」と書かれていましたが、結局往路では見つけることができず・・・。
ルート後半。ススキの原と大展望
ルートも後半となり、次第に箱根らしい岩々が姿を見せるようになりました。
振り返ると相模湾と小田原市街が一望できました。
拡大すると横浜のランドマークタワーやスカイツリーまでもが確認できます。
さらに遠望左端は大山ですね。
大山の手前の山塊は松田山あたりでしょうかね。
ちらほらと雪が見え始めました。先ほど丹沢に付いていた雪の様子からすると、標高1000mを越えたあたりで降雪があったようですね。
奥に見えるのが外輪山の稜線でしょうか。
雪にススキに青空に。
MAMMUT Magich High試運転
そういえば今日は新調した靴の試運転を兼ねての山行でもありました。MAMMUTのMagic High GTXです。全モデルのMonolithの後継として販売されたモデルなので、私の足にもフィットしており、今日が初めて下ろした日とは思えないほどの履き心地でした。
私の感覚だと、Monolithや旧Magicが合っていた方であれば、このMagic Highも合うと思います。Tetonよりは気持ちやや細めな気がします。
稜線前の登りへの最後の平坦路。
ルート上にはここを含め数か所で崩落の跡がありました。箱根唯一の水場があるくらいですから地盤も弛めなのでしょうか?
水の流れが登山道を横切っている場所も3~4か所ありました。
雪は多くてもこの程度で、アイゼンも不要です。
雪、渡渉、岩場(崩落個所)と、結果的には新調靴に対する色々なテストができました。
最も酷かった崩落個所にはケルンがありました。チビワンが居たらきっと追加の石を乗せていたことでしょう。
この辺りは崩落しているうえに雪もかぶっていて、少々ルートを見失いやすくなっている気がしたので・・・
ケルンで矢印を作っておきました。この方向に進んでください。
崩落個所を過ぎてしばらくすると、再び緩やかなススキの道となりました。
雪は少なめですが、青空とのセットがいいですね。
ようやく明神ヶ岳・明星ヶ岳の分岐までやってきました。稜線はもうすぐそこです。
・・・と思っていたのですが、ここから10分くらいが意外と急登でした。
主稜線、そして山頂へ
ついに外輪山の稜線にでました。大涌谷もバッチリ見えて遠望はまずまずですが、いかんせん鉛色の空が寒々しさを感じさせてくれます。
そこから5分も歩くとゴールです。明神ヶ岳1169m、到着です。
金時山まではしっかりと見えるのですが、そのすぐ後ろの富士山は・・・残念。
山頂のご案内。
晴れの日はこういう風に見えます。まぁ何度か見ているのでそれほど残念という気持ちはありませんが・・・。
小田原方面や丹沢も良く見えますが、やはり曇り空が・・・
食事中に晴れ間の広がるタイミングがありました。富士山こそ見えませんが、この日一番のショットとなりました。
さてここでちょっとしたトラブル。山頂で楽しみにしていたコーヒー。お気に入りのカロシを持ってきて早速ミルで引いたのですが・・・なんとフィルターとドリッパーのセットを忘れるという大失態!
さすがにティッシュではすぐに切れてしまうだろうし、諦めるかコナッコナのコーヒーを飲むかで悩んでいたのですが、ふと思いついたのがウェットティッシュー!普通のティッシュよりは切れにくいですし、これならもしや・・・!
大成功!じわじわと染み込んで上がってきたコーヒーがめっちゃ暑かったのですが、なんとかドリップすることができました。コーヒー万歳!
(ドリッパーとフィルターは後日自宅内で発見・・・)
改めて金時山までの稜線。この景色を見ると、6歳のチビワンは本当によくこの縦走路を歩ききったなぁと感心しながら思い出していました。
一方で、私の幼少期の父との思い出にも浸りました。数枚の写真とわずかな記憶しかありませんが、30年以上前に私と父が眺めた光景。当時の父は今の私のような気持だったのでしょうか。今となっては知る由もないのですが、こうしてお山が世代を超えて人を繋いでくれるということが、私にとっては嬉しくてたまらないのです。
さて、物思いに浸るのはここまでにして、そろそろ下山を開始します。下山後の仕事もあるので・・・
下山、父が愛した明神線
下山を開始してしばらく、結局登りで見つけられなかった「明神水」がどこにあるのか気になったので、先ほどよりも周囲に気を配って歩いていたのですが、見つかりました。
神明水よりは水量が少なく、地図の補足通り「涸れることもある」というのがよくわかる水場でした。
このあたり。一番ひどかった崩落個所のすぐ先だったのですね。神明水と違い案内板も何もなかったのですが、この扱いは水量の差でしょうか?(笑)
冬の時期にもかかわらず、まるで雨季のような瑞々しさを残す苔が沢山群生していました。
あまり派手なものはなく、ひっそりとしたルートではありますが、従叔父曰く父が一番多く登ったルートというのも、父の性格を考えればわかるような気がしました。(もちろん、住んでいた関本から一番近いというのも大きな理由化とは思いますが)
そんな物思いに耽りながら歩いていると下山はあっという間でした。杉の幹の太さを意識していると、次第に最乗寺が近くなるというのがわかります。
最乗寺参道との分岐、ゴールです。
せっかくなので、最乗寺境内を散策しようかと思いました。
本当に立派な杉が沢山あります。
父も私も、子供たちもずっと見守っていくのでしょうね。
ここにきてようやく晴れ間が出てきました。清々しいゴールとなりました。
いつかゆっくりと最乗寺も歩いてみたいですね。
また、案内図左上にある「奥の院」からは、山と高原地図には載っていない明神ヶ岳への別のルートに行くことができます。またいつか。
参道の途中ですが、ここで駐車場に向かいます。
あっというまの5時間半でした。お疲れさまでした。さてこれから大手町まで・・・(涙)
振り返って
従叔父から聞いた「父が一番多く登った」という最乗寺からの明神ヶ岳ルート。距離は長いけどゆったりとした登りでひっそりとした佇まい。派手さはないけど山の醍醐味はしっかりと詰まっている。なんだか父の性格と似たようなルートだなぁというのが感想でした。父が多く登ったというのも頷けました。
父と明神ヶ岳に登った記憶もありますが、それは宮城野方面からのもので、今回の最乗寺からのルートではありませんでした。きっと父も、子連れで行くには合わないルートだろうと思っていたのかもしれません。けどその子供がこうしていいオジサンになって山の魅力がわかってきた時のためにその軌跡を残し、長い時間を経て父と私を繋いでくれたのかもしれません。そう思うと自然と父を近くに感じることができます。とても良い山旅となりました。感謝!
山行データ
- 出発時刻 / 高度: 07:48 / 348m
- 到着時刻 / 高度: 13:21 / 353m
- 合計時間: 5時間32分
- 合計距離: 10.0km
- 最高点の標高: 1148m
- 最低点の標高: 316m
- 累積標高(上り): 821m
- 累積標高(下り): 816m
Reliveで山行振り返り
最近のコメント