2019.3.24
登山初心者にも人気の金時山。週末で晴天となれば山頂手前で行列ができるほどの混雑のイメージを持つ方が多いと思いますが、金時山の”裏口”ルートとも言える夕日の滝ルートの紹介と、まさかの雪山ハイクでアイゼンデビューとなったチビワンとの山行記録です。
「雪山を歩いてみたい!」というチビワンの願いを叶えるため、当初は赤城山(黒檜山)か入笠山を予定していましたが、どちらにするにしても芳しくない天候だったのと、それなりの遠征だと翌日(の学校)に響きかねないので近場で楽しむことにしました。しかしながら予期せぬ僥倖によりチビワンの願いは果たされることになります。
目次
山行ルート
少し先の夕日の滝キャンプ場の無料駐車場に駐車します。こちらも決して駐車場は広くありませんが(30台程度)、ここも無料ですしルートはさらに登山者が少なくなり、金時神社や乙女峠からのルートでは味わえない静けさの中を歩き、さらに沢沿い歩きも楽しむことができるオススメルートです。
山行目的
「雪山を歩いてみたい!」というチビワンの願いを叶えるため、
本日の山行目的
- チビワン未踏のルートを歩く!
- リニューアルされた十二支シールをチェック!
- 金太郎茶屋のおばちゃんの身長を聞く(※)!
※前回金太郎茶屋にお邪魔した時、チビワンがおばちゃんの身長に驚いたので、聞いてみたかったそうです(笑)
まさかの雪山ハイク
午前7:30、ezBBQ country(旧夕日の滝キャンプ場)の無料駐車場に到着しました。手前の地蔵堂の駐車場のほうが駐車スペースとしては広いのですが、地蔵堂は金時山よりもお手軽な矢倉岳へのアクセスにも使われて比較的満車になる確率が高いので、今回はこちらに駐車しました。ここからは目の前が登山口となるので、地蔵堂駐車場からの車道歩きも省くことができます。そして着くやいなや・・・
まさかの雪。箱根界隈でも一定高度以上の場所では前夜に降雪があったようです。
完全に雪国の佇まいです。
予想外の雪にチビワン大喜び。それもそのはず、雪山を諦めてここに来たわけですから喜びもひとしおでしょう。
早速戦利品らしきものを・・・
ただ困ったのが雪山対策。雪山ハイクは諦めていたのでチビワン用に準備したチェーンスパイクは自宅に置いてきてしまいました。6本軽アイゼンは車の中にあったので、チビワンの登山靴(20cm)にあてがったところ、ギリギリストラップで固定できそうでしたので、それを持っていくことにしました。それでもこの時点では本当に必要になるとは思っていませんでしたが・・・。
午前7:57、駐車場を出発です。・・・やっぱりソレ持ってくの?
駐車場からわずか1分。夕日の滝ルートの登山口です。
降雪があったとはいえ今日は快晴。気温も上がり樹上の雪はどんどん解け、雪や氷の塊が頭上から降りかかってきます。こんな日に限ってキャプチャー用のカバー(シェル)を忘れてしまい、仕方なく小さなタオルハンカチでカメラを守りました。
邪魔になると思うんだけどなぁ・・・ソレ。
愛でるように大事にしてます(笑)
木から落ちた粉雪が舞い、陽差しに照らされて輝いていました。
登山道も最初はこんな感じでしたが、次第に雪の量は増えていきました。
楽しそうだから良しとしますか。
途中、こんな場所も。
次第に雪の量も増えてきましたね。
見事な雪の華です。
・・・と、こちらは本物の花に雪が被っていました。ピンク色ですがまさか・・・?答えは復路にて。
夕日の滝ルートは途中で猪鼻砦跡に向かうルートと、足柄林道終点ゲートに向かうルートに分岐します。どちらもルート的に大差はありませんが、少しでも稜線に早く出るルートに出るため林道終点に向かいます。
晴れていると難なく歩ける場所ですが、一面雪となると沢沿いを歩くということもあってルートファインディングの難易度が一気に上がりますので、十分注意する必要があります。
なかなか来ないと思ったら、何かこしらえてます。
今度はソレ持ってくの!?
持ったまま走ったり・・・。その姿はさながらアメフトの選手(笑)
気持ちはわからないでもないですが、バテるんじゃないかなぁ?
へっちゃら!と言わんばかりに。さて、どうなることやら・・・
ユコボコボコボコ
この日、追い抜かれたトレイルランナーさんお二人を除いて先行者はおらず、そのお二人も猪鼻砦跡に直行するルートに向かったようなので、林道終点ゲートまでのルートは我々が本日最初の登山者となり、見ての通り深雪モフモフの雪道を歩くことになりました。
そんな会話を楽しみながらチビワンを見ると、何やら手に持っていたモノがどんどん大きくなってきます。
夕日の滝ルートを子連れで歩く場合に唯一難点となるのがその総距離。高低差もそれなりにある上での12kmのルートで、尾根に出るまでは眺望もありません。いかにここを乗り切るかが懸念材料でしたが、この雪に助けられたようです。
そうこうしている間に、林道終点に到着しました。それなりの登りだったので(しかも雪玉の重り付きで)少々チビワンも疲れたはずですし、ここで休憩することにしました。
おやつはゼリーでエネルギーチャージ!
ここらはしばらく緩やかなアップダウンが続きます。
休憩も終えて出発です。でもその前に・・・ズザザ・・・
ザザザザザザザーーー!
なんか磨きがかかってます(笑)・・・当てられたらイタそう。。。
ここから猪鼻砦跡や山頂、下山時に何度かお会いすることになる5名のグループの方々。色々とお世話になりました。
ハマっているDA PUMPの懐メロを口ずさみながら
かなり酔ってます(笑)雪玉はマイク代わり?
かえる池。春になるとカエルの卵でいっぱいになりちょっとグロですが今は静かです。
猪鼻砦跡に着きました。ようやくここで富士山とご対面。この時間になるとどうしても南側から雲が出てきてしまいますが、それでも十分立派な富士山です。
さて、それではいよいよ急斜面への取り付きになるので、雪玉くんとはここで一旦(?)お別れ。下山時まで無事に残ってるでしょうか?
リニューアル十二支シール
猪鼻砦跡から見上げる金時山。旧称である猪鼻岳(いのはなだけ)の由来に納得の急斜面です。
いよいよチビワンも楽しみにしていた十二支階段へと向かいます。
鳥居を抜けるともうすぐ。
ありました!・・・おや?
なんて、本当は知っていたのですがトボけてみました。新しい発見にチビワンも大喜び。
数々の干支をゲットしつつ、最後の階段を探し・・・「あった!」
これで十二支すべてコンプリートしました。”猪”鼻岳だけに最後の”亥(いのしし)”をゲットするとすぐ山頂、というのが面白いですね。急登ではありますが、子連れ登山でオススメな理由の一つでもあります。夕日の滝からの長い登りが難しそうであれば、平日または早朝に林道終点ゲート前まで車で来れば山行時間も少ないのでお手軽です。
急登に息を切らせながらも背景に目を向けると、疲れも癒される富士山を目にすることができます。今日は富士山右側に冠雪した北岳も見えますね。その隣には鳳凰三山とプリンス甲斐駒も。
小屋が見えました!いよいよ山頂へ到着です。
大混雑の山頂
予想はしてましたが・・・山頂はこれでもかと言わんばかりの大混雑。夕日の滝という人の少ないルートを歩いてきたのと、こんな雪道の日だからということでもしかしたら空いてるかも?と思っていましたが、甘かったですね。夕日の滝ルートであってもこの場所だけは覚悟が必要です。
でも、頑張った分いつものヌードルの味も別格ですね。
金太郎茶屋に入るも、食事をされている方で一杯だったため、おばちゃんに身長を聞くどころから休むこともできないほどでしたので、残念ながら再度外に出ました。下山前ですがご褒美のコーラ。
山頂でも先ほどお会いしたグループの方々と再会したので、お決まりの写真を撮って頂きました。
一応ズームレンズは持っていましたが、この時マウントしていたのは35mmの単焦点。「凄いカメラですね」と驚かれながらも「あれ?これズームはできないんですね」と言われてしまい(笑)。何枚か距離変えて撮って頂いたのですが、文字通り「足で稼いで」いただきました。ありがとうございました。
その後ですが、さすがの混雑に私たちもなんとなくソワソワしてしまい、のんびりする気になれず早々に山頂を後にするのでした。
氷結回廊にてアイゼンデビュー
さて下山。乙女峠口や金時神社方面は恐らく解氷によりドロドロの泥濘だったと思われますが、足柄峠方面は北側で日射が無く解氷はほとんど進みません。
翌日はアイスバーンになっているかと思われますが、この日はまだそれほどでもありませんでした。ところがかなり踏み慣らされているためとても滑りやすくなっていました。
私はなんとかなりそうですがチビワンのことを思うと一抹の不安が過ります。そこで、念のためと持参した軽アイゼンをチビワンに装着することにしました。
ストラップは私の靴に合わせていたため少々長めでしたが、フィッティング自体は悪くなく、チビワンも気持ち的に楽になったようです。
実際、軽アイゼンやチェーンスパイクを装着している方は少数でした。そもそも登山靴どころかスニーカーで上がって来ている人も多いくらいですからね。南側ルートならともかく、足柄峠方面はこの日に限っては装着するのが正解でしょう。
ひっかかったり躓いたりする条件は未装着状態のそれとは異なるため、状況に沿って教えましたが、そうこうする内にアイゼン歩行もだんだん慣れてきたようです。
さて、そんなやりとりをしているうちに、猪鼻砦跡まで戻ってきました。あの雪玉は・・・?
完全に溶けてました(笑)
ショックでフテてる図(笑) まぁ十分楽しんだからいいじゃない?
小休止の後、今度は猪鼻砦跡から夕日の滝に向かうことにします。(写真右上方向へ)
山頂の喧騒を忘れる静かな尾根歩き
このルートに入るとますます人は少なくなり、最終的にお会いしたのは一人だけ。それほどに静かなルートです。
山頂の喧騒が嘘だったかのような静けさ。同じ山だったことを忘れるくらいです。
眺望こそほとんどありませんが、土と草木の香り、そして何より静謐さをじっくりと体にしみこませることができます。
どうしても軽アイゼンを外したくないので無理やり雪上を歩くひと。
傾斜も緩く気持ちの良い登山道です。
高度を下げてくると、次第に様子が変わってきます。
このルートは高度を下げると途中から沢沿いを歩くことになります。金時山で沢沿い歩きをイメージする人は少ないと思います。
ちょっとした渡渉も3回ほどあります。
はしゃいだチビワンはドボン!(笑)こちらのルートを復路にしたもう一つの理由はこれだったりします。
杉を蹴ってみると頭上から半解け状態の雪と水が落ちてきます。
そんな遊びも交えつつ。
猪鼻砦跡から1時間ほど歩き、最後の渡渉を終えると往路と合流します。
朝あれほどシンとした空気でしたが、今ではこの通り。雪を被っていたのはやっぱり桜だったのですね。
一日で冬と春を経験したような錯覚に陥ります。まったく違うお山を歩いているような気分になりますね。
ケルン積みも無事に済ませ、下山はすぐそこです。
夕日の滝と下山後のお楽しみ
登山口に着きましたが、この後5分ほど足を延ばして夕日の滝に寄り道してみました。
これがなかなかに壮観だったりします。私もこの滝を見るのは初めてなのですが、チビワンも予想以上の大きさに感嘆の声を上げていました。
そして午後2:41、無事に下山しました。お疲れさまでした。
さて箱根登山と言えばその後のお楽しみは富士山樹空の森・冒険の丘。チビワンはここが大好き。いつも通り登山以上に元気になりますが、ここでは割愛(笑)。
例によってお隣の御胎内温泉で汗を流しました。夕食の回転寿司(これまたいつものくら寿司)までの時間は、休憩室でUNO大会。大いに盛り上がりました。
まとめ
当初の雪山ハイクを妥協した結果の金時山でしたが、まさかの別の形での成就。お手軽に雪山ハイクを楽しめたのはラッキーでした。心配していた軽アイゼンも特に問題が無く、チビワンにとってもよい経験となったようです。
夕日の滝ルートは静かに歩くなら本当にオススメのコースです。総距離が長くなるという問題がありましたが、無事踏破できたのはチビワンの成長による賜物でしょう。大満足な一日となりました。
山行データ
- 出発時刻 / 高度: 07:57 / 489m
- 到着時刻 / 高度: 14:41 / 491m
- 合計時間: 6時間43分
- 合計距離: 12.23km
- 最高点の標高: 1189m
- 最低点の標高: 485m
- 累積標高(上り): 819m
- 累積標高(下り): 797m
Reliveで山行振り返り