ピークデザイン キャプチャーと相性の良いLプレートとは?

カメラ

抜群の使い勝手を誇るPeakdesign(ピークデザイン)のキャプチャー。登山で一眼レフカメラを携行しないことはまずないので必須品の扱いです。

一方、構図を崩さず縦/横の構図を素早く切り替えられるLプレートも山岳風景撮影では非常に重要なアイテムなのでこちらも愛用していますが、三脚へ移動のたびにキャプチャープレートとLプレートと付け替えるのは恐ろしく煩雑なので、できることならキャプチャープレートはLプレートに取り付けたままにしておきたいものです。

基本的には以下記事中の絶対条件さえ満たせば実現は可能ですが、Lプレートはメーカー毎の”色”が強いので、無理のない組み合わせのために「キャプチャーと相性の良いLプレートとは?」という観点で考察してみました。

※2019/9/13追記
本記事はあくまでキャプチャーと相性の良いLプレートを考察したものですが、クランプとLプレートの間にキャプチャープレートという”中間層”が追加されることによって、横位置撮影時にカメラの中心点が上方向にズレることになるのでご注意ください。※詳細と対策は後段にて。

 

絶対条件=1/4インチネジ穴(=三脚穴)の有無

何はともあれ絶対に必要な条件というのが

  Lプレート底面に1/4インチネジ穴が切られていること

です。
各パーツの接続順としては、カメラボディ⇒Lプレート⇒キャプチャープレートとなりますが、キャプチャーは本来ボディに直接取り付ける前提で設計されているので1/4インチネジを使用します。つまりLプレートにこれに対応したネジ穴が無ければこのインタフェースは実現しません。

Lプレートによってはこのネジ穴が存在しないものもあるので、選定の際には一番最初に確認する必要があります。

Canon EOS 5D Mark IV f/6.3 1/80sec ISO-1000 35mm

 

より相性が良くなる条件とは

上記絶対条件である1/4″ネジ穴があれば最低限の運用が可能ですが、以下の点を考慮してLプレートを選びを行うとより快適で安全な運用が可能になります。

カメラボティ固定力

キャプチャーを使用するということは、カメラが常に下を向いた状態で運搬することになるため、通常のLプレート運用ではかからない負荷がLプレートとカメラ本体の接点にかかることになります。登山中ともなればその力のかかり方も大きく不規則になるため、Lプレート自体の緩みには十分注意する必要があり、そのためにもLプレートのカメラ固定力が重要です。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/6.3 1/80sec ISO-800 35mm

DMC-FX37 f/2.8 1/60sec ISO-250 4.4mm

特定のカメラモデル向けの専用設計でない汎用Lプレートだと、ネジ穴だけが唯一の固定ポイントとなるため固定力には若干の不安が残ります。
一方で、そのカメラ専用に設計されたLプレートであれば、プレート自体がカメラボディの曲線にフィットするような設計に(上の2つの写真のように)なっているものが多いので、信頼性(特に捻じれへの耐性)はこちらのほうが高いです。

 

 

DMC-FX37 f/2.8 1/60sec ISO-250 4.4mm

RRS(Really Right Stuff)製の5D4専用Lプレートは1/4″ネジ穴だけでなくストラップホールも使って2点で固定するので、その点では固定力はより高くなっています。

 

キャプチャー中心点とボティ中心部からの距離

キャプチャーのプレート取り付け位置が、カメラ中心部にどれだけ近いか、ということです。
キャプチャーは元々カメラの三脚穴、つまり中心部に取り付けますが、Lプレートを装着する場合はLプレート自体のネジがあるため、キャプチャーをカメラの重心部に取り付けることができず、左右のどちらかにずれてしまいます。

このズレ自体は仕方のないことですが、このズレが大きければ大きいほどバランスが悪くなり、その結果キャプチャーやLプレートへの不規則なダメージが加えられたり、最悪レンズが左右どちらかに向くことになり、安全面でも影響が出てきます。

 

上写真のスライダーを動かしてみてください。左側がRRSの5D4専用Lプレートで、右側がKirkの5D4専用Lプレートですが、RRSのLプレートは三脚穴の位置(黄色のライン=キャプチャープレート取り付け位置)がプレートのかなり外側(赤色ライン=カメラ中心線との距離が長い)にあります。

そのため、カメラをキャプチャーに装着して行動すると、次第にレンズが外向きになってきてしまいます。内側を向くならまだしも、登山中の岩場などで外側を向くのは少々緊張を強いられます。

また、あまり外側に離れすぎると、雲台側に幅の広いクランプが無ければ三脚の中心にカメラの中心を合わせられないという致命的な問題が発生します。(下の写真はギリギリクランプに乗せられていますが、80mm近くのクランプが無いと不安になります。)

DMC-FX37 f/2.8 1/60sec ISO-400 4.4mm

 

同じく外側に離れていると、キャプチャークリップのロック解除ボタンを右手親指で押しにくくなるという弊害も出ます。これも地味に痛手だったりします。

上のスライドでは、左側がRRSの5D4専用Lプレートで、右側がKirkの5D4専用Lプレートですが、RRSのLプレートを使用した場合はロック解除ボタンまでの距離がかなり遠く、今までの感覚で押すのは正直厳しかったです。山行中には結構なストレスでした。

 

Kirk(KES:Kirk Enterprise Solutions)の5D4向け専用Lプレートは、製品そのものの完成度が高い上に、上記の条件も十分に満たすものでした。

Canon EOS 5D Mark IV f/7.1 1/100sec ISO-640 35mm

 

結果的に相性の良かったLプレートは・・・

Lプレート単体としての完成度の高さ、剛性、安定性という面で言えばRRS製の専用Lプレートがイチオシなのですが、ことキャプチャーとの相性という点ではKirkの専用Lプレートが最も良いという結論になりました。

KirkのLプレートの相性が良かった理由
  1. 専用設計のため、カメラ本体にしっかりと固定できる
  2. 1/4インチネジ穴がカメラ中心部に近い
  3. そもそものLプレートとしての完成度が高い

実際、最近の山行にてKirkのLプレート&キャプチャーという組み合わせで運用してみましたが、とても快適でした。

牛奥ノ雁ヶ腹摺山~最長山名のお山を最短ルートで

もっともこの結果は「5D4専用のLプレート」という条件下での結果なので、他の機種専用のLプレートでは別の結果になるかと思いますが、相性が良くなる条件というのは上記に記載した基準によると思いますので、キャプチャーとの併用を前提にLプレートを選定をされている方は参考にしてみてください。

 

注意点:横位置撮影時の上下方向のセンタリングについて

(2019/9/13追記)

当然といえば当然なのですが、自分でも当初気づいていなくて後から愕然としたことです。

Lプレートにキャプチャープレートを取り付け、キャプチャープレート部をクランプに乗せるということは、キャプチャープレートの厚み分だけ、カメラ中心点が上方向にズレるということになります。
この状態で水平を取ったとしてその後縦位置に切り替えた場合、キャプチャープレートが無い縦構図側のLプレート部をクランプに乗せることになるので、キャプチャープレートの厚み分だけ今度はカメラ中心点が下方向にズレることになります。考えてみれば当たり前なんですけどね。

このズレを解消するためには、キャプチャープレートの厚み分、Lプレートを横にずらす必要があります。厚み分を正確に出す必要がありますが、これができればジレンマからは解消されます。

 

Lプレートと三脚の組み合わせが必要な時はキャプチャープレートを外してしまえば間違いはないのですが、それでは本末転倒なので・・・。