登山に超不向きな”神”雲台~Manfrotto ギア雲台 405

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最高峰の剛性・操作性を誇りながらも自重1.6kgという登山者泣かせの超重量。そんな諸刃の剣とも言えるManfrottoギア付き雲台「405」のレビューです。

自由雲台・3way雲台にも無い操作性

三脚は過去に自由雲台、3way雲台を使っていました。どちらもそれぞれのメリット・デメリットがあり、状況に合わせてどちらを選ぶか?という二者択一しかないように一般的には言われてますが、どちらにも共通したデメリットというものがあります。それがスクリューでの締め/緩めによる固定/リリース方法、というものです。

構図を検討して「ここだ!」と決めてからスクリューによる締め付けを行う際、その締め付け自体の力加減で微妙に構図がズレることがあったり、また、構図を固定した後に微調整をしたくなった場合にまた緩めて締めて・・・というのは本当にストレスフルな作業です。

それを解消してくれるのがギア雲台です。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/5.6 1/125sec ISO-800 35mm

ギア雲台の操作対象はチルト(上下の傾き)・パン(左右水平方向の回転)・ロール(左右の傾き)の3要素で、これはいわゆる3way雲台と同じです。ただし3way雲台のような「緩める」⇒「任意の方向に動かす」⇒「締める」流れではなく、各要素のハンドル(グリップ)を「任意の方向に回転させる」だけです。この操作性の良さは一度ハマると戻ることができなくなります。

 

 

Canon EOS 5D Mark IV f/2.5 1/125sec ISO-500 35mm

調整の仕方は二通りあり、一番外側のスポンジ箇所を握りながら回す「微動」と、その内側(QUICK SETと書かれた部分)を握りながら回す「粗動」です。

「微動」させるとギア機構によりほんの少しずつ確度が変わるのに対し、「粗動」させるとハンドル内部がギア機構から外れ、スムーズに大雑把な動きができます。最初に「粗動」にて大体の位置を決め、そのご「微動」にて細かな調整を行うという流れ主な使い方になります。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/7.1 1/125sec ISO-3200 35mm

各回転方向には角度計が刻印されています。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/7.1 1/125sec ISO-1600 35mm

3か所に水平器が取り付けられており、視認性も◎。

 

耐荷重7.5kgの剛性

Canon EOS 5D Mark IV f/2.8 1/160sec ISO-400 35mm

カタログスペックでは最大耐荷重は7.5kg。70-200mmクラスの長玉を装着したハイエンドレフ機に、バッテリーグリップを付けた程度では十分な余裕があります。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/7.1 1/125sec ISO-3200 35mm

Manfrottoの410PLというタイプのクイックシューを使っており、これもとても剛性は高いのですが、かなり使いづらくなっています。ここに関しては機能面において唯一残念なところで、私はアルカスイス互換になるよう改造しています。(改造記録については別途記事としてアップする予定です)

 

持ち運びに苦労する重量と容量

Canon EOS 5D Mark IV f/7.1 1/125sec ISO-3200 35mm

素晴らしい操作性と剛性ですが、その複雑な構造ゆえに非常に重くなり、とにかくでっかいです。運搬方法についてはいまだ試行錯誤を続けていますが、三脚に取り付けたままザックに取り付けるとどうしてもバランスが悪くなってしまうため個別に運ぶようにしていますが、裸でザックに入れるのも不安だったので何か手頃なケースがないものかと思案していたところ・・・

 

Canon EOS 5D Mark IV f/7.1 1/125sec ISO-6400 35mm

まさかのジャストフィット、ロープロのトップローダープロ。405の大きさのイメージがつかない人でもトップローダーサイズとなればそのデカさが容易に想像できると思います・・・。

 

推奨三脚は055以上

Canon EOS 5D Mark IV f/7.1 1/125sec ISO-3200 35mm

耐荷重7.5kgもある大物なので、三脚もそれなりに剛性の高いものを選ぶ必要があります。以前は190という三脚を使っていたのですが、今回の405へのアップグレードに合わせて三脚も055に買い換えました。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/7.1 1/125sec ISO-2500 35mm

登山にも使う!と決めた以上は軽くできるに越したことはないので、055カーボン三脚の3段です。

 

フィールドで使ってみた

山行記録の記事としてはアップしていませんが、1月末に丹沢大山イタツミ尾根を歩いてきたので、大山山頂にて試運転してみました。

DMC-FX37 f/3.5 1/500sec ISO-100 4.4mm

やはりデカイです。下界ならともかく山頂では存在感ありすぎてちょっと浮いた感じがします。

 

DMC-FX37 f/2.8 1/500sec ISO-100 4.4mm

風の強い一日でしたが、テレ端でもブレることなく撮影ができました。残念ながらタイムラプス撮影の被写体にしていた富士山はお隠れになってしまいましたが・・・。

 

DMC-FX37 f/2.8 1/200sec ISO-100 4.4mm

この写真では三脚座を使っていますが、正直あまりオススメはしません。ブレた場合はヤジロベー現象によってブレがより増幅されることもあります。重量のバランスによほどの問題が無ければ、個人的にはLプレートを使うことにしています。

 

色々とトレードオフ

登山における装備品は、機能が十分にその役割を果たしているのであれば軽量であるに越したことはありません。が、登山そのものに直接関係のない撮影機材などはその機能が果たされなくなった瞬間にタダの鉄クズになります。北岳登山の際に稜線の爆風で軽量三脚がまったく役に立たなかったときに身をもって体験させられました。

北岳~夏山彩景、白根盟峰の黄昏(前編)

北岳~夏山彩景、白根盟峰の黄昏(後編)

以来、それなりの重量とそれなりの剛性、そして操作性を求めた結果がこの組み合わせになりました。私が登山道具の軽量化を目指すのはこの雲台と三脚を運ぶためといっても過言ではありません。それほどまでに素晴らしいと思った雲台でした。