2018.8.26
台風一過にもかかわらず芳しくない天気が続いた三連休。
わずかな晴れ間を狙って、今年開山1300年を迎えた四阿山を歩いてきました。
昨年9月の北岳以来、約1年ぶりのソロ登山です。
目次
山行ルート
菅平牧場を起点に百名山の四阿山、花の百名山である根子岳も含めて周回するルートです。
大スキマの登り返しがハードなので、逆ルートはあまりオススメしません。
山行目的
1年ぶりのソロ登山。最近は子供達と一緒のほうが楽しかったりするのですが、やはりじっくり登山や撮影に向き合うにはソロが一番。とはいえ今まで長らく子連れ登山モードで歩いていたため、体力面が心配・・・。無理なく楽しく、ただし午後からは雨雲が多くなるので、あまりダラダラせずに下山する予定です。
本日の山行目的
- 1年ぶりのソロ登山を満喫!
- 花の百名山でたくさんのお花を撮影!
- そしてそろそろお花の名前も覚えよう!
菅平牧場より登山開始
予報によると当日は午後から雲が多くなるとのことだったので、セオリー通り早出早着としたかったので前日夜には菅平牧場に到着後、そのまま車中泊。
夜中は北アルプス方面からの遠雷を耳にしながら一夜を明かします。
この三連休は北アルプス縦走予定だったのですが、天候が大いに荒れるとのことから泣く泣くキャンセルしましたが、あの雷を聞いてこちらに来て良かったと思うと同時に翌日こちらも天候の崩れが早まらないかなど、気になりなかなか寝付けませんでした。
翌朝4:30過ぎ、まだ陽が昇らない時間帯に出発しました。
四阿山方面の空は若干雲が残りつつも十分に期待できるものでした。
久々のソロ登山、期待と興奮のあまりついつい歩調を早めてしまい、あっという間に息が上がってしまうという始末。子連れに慣れてしまうとこの辺りの自制のタガが外れやすくなってしまいますね。
小四阿から四阿山に至る登山道では、腰程度のとても茂った笹薮がかなりの頻度で現れますが、早朝は朝露をたっぷり含んでいるので下半身がびっしょりになります。ゲイターでは高さが足りませんので、レインウェアを履くというのも手です。また、スマホ等をパンツの中に入れているとしっかり濡れてしまうので防水が施された袋などに入れることをお勧めします。
迎えてくれた見事な雲海と眺望
そして登山開始から約1時間。大分上り調子のペースが落ち着いてきた頃、登ってきた方向を振り返ると見事な雲海。今までの不安と疲れを吹き飛ばしてくれた瞬間でした。
四阿山に至るには、小四阿、中四阿という小ピークを経ていきます。
小四阿に到着です。まだまだ先は長そうですね(笑)
小四阿まではそれなりの斜度がありましたが、ここからは少々斜度が落ち、所々で視界が開けるので気持ち的にはかなり楽になります。
色彩豊かな夏の名残り
見上げた先には初秋を感じましたが、足元ではまだ夏の彩りが残っていました。
かなりピンボケしてしまいましたが、いくつか紹介します。
左がアキノキリンソウ。右がツリガネニンジン。個々の房はホタルブクロのようにも見えますね。
今回の周回で、四阿山側は特にマツムシソウ(左)が沢山群生していたように思えます。右はイブキゼリでしょうか?
今にも開花しそうなエゾリンドウ(左)。今日の山行で開花したエゾリンドウを目にすることができるのかな?などと思いながら歩を進めます。
右はウメバチソウ。お隣の根子岳はウメバチソウで有名です。
小ピーク群を越えて山頂へ
中四阿を過ぎると、いよいよ山頂へのアタックモードになります。
中四阿近辺はちょっとした岩稜帯になっており少しだけ岩場歩きを体験します。
このあたりの道標には「ダボス」という文言が多用されており、ずっと頭に残っています。。。
中四阿山から少し先では谷を巻くように歩きますが、山頂近くの山肌は大きく崩壊した跡がありました。
開けた野原にたどり着くと、深田久弥が”乳首”と呼んだ山頂が姿を現しました。
根子岳との分岐です。
帰りはここを左に進んで根子岳に向かう予定です。
朝日が眩しいですね。
一時期ガスに巻かれることを懸念しましたが、どうやら2000m付近で滞留していただけのようです。
逆光の日差しの中から、四阿山の山頂全容が姿を現しました(左)。
四阿山の由来は山頂が「東屋(あずまや)」の形をしているからという説がありますが、なるほど見事な山容です。
近づくと山頂直下は植生保護のための木階段となっています(右)。
さながらビクトリーロードのよう。さぁ、いよいよ山頂です。
360度の大展望!四阿山山頂到着
山頂付近には祠が二つあります。
神に護って頂きたい方向(一つは南アルプス側、もう一つは軽井沢方面)を向いているのだとか・・・。
そして7:19、山頂到着です。
そこでは360度の素晴らしい眺望が広がっていました。
根子岳と、それを越えて北アルプス
こちらは軽井沢方面。
来月には噴火警戒レベルが1に下がり前掛山までの入山が可能になった浅間山、その横には険しい裏妙義山の山々。
北東方面は雲が多いですが、白根山の方角ですね。
そしてなんと、富士山もその姿を見せてくれました。
絶景の中で飲むコーヒー、ほんと幸せ♪
名残惜しいですが、そろそろ根子岳に向けて出発します。
主役以上の存在感!?大スキマからの絶景
先ほどの分岐路から根子岳方面に進むと、急こう配の下りで一気に高度を落とします。
路面が濡れているのでとても神経を使いましたが、緑深いその樹林帯は苔ワールドもあり個人的には癒しの空間でした。
大樹が朽ちても小さな命の受け皿となる、そんな自然の大いなる営みを感じることができました。
そして大スキマの鞍部に到着すると、本日一番の絶景が待ち受けていました。
き、来てよかったーーー!!
事前に予習はしていたものの、やはりその場に来て自身の目で見るとその素晴らしさに息をのみます。
ここでしばし足を止めて、じっくりとその絶景を瞳に焼き付けるのでした。
のんびりと、それほど辛くもない登り返しですが、この絶景の中歩けるとあればどんな疲れも和らいでしまいそうです。
振り返ると先ほどまで滞在していた四阿山の山頂が見えますが、本日の主役であるにもかかわらず先ほどの絶景には敵わないという印象でした。
登り返しの途中でも様々な花、蝶、トンボと出会います。
マツムシソウの蜜を味わう蜂(左)。背景の青空がよく似合います。
本日の山行で唯一開花した状態のエゾリンドウ(右)。今日は”持って”ますね、私(笑)
しばらく撮影に没頭して、なかなか歩を進めることができません。
天国のようなお花畑を抜けると、今度はゴツゴツした岩肌が現れました。
ここは通称「鬼の遊び場」と呼ばれる場所。なるほどいいネーミングですね。天国から地獄へと足を踏み入れてしまったようです。
岩場と言っても難易度の高いものではありませんが、実はこの日、この付近で滑落と思われる通報があったそうです。
岩場のへりでザックとポールが見つかり、下部にペットボトルが散乱していたことから誰かが滑落したのではないかと警察に通報が入ったようで、後に県警の救助ヘリがこの近辺をホバリングしていました。何もなければよいのですが・・・。
さてそうこうしているうちに、花の百名山 根子岳(2207m)に到着いたしました。
こちらも山頂には祠があります。四阿山をバックに祠を一枚。
山頂の方位盤には”猫嶽”と刻印されています。
後に調べて分かったことですが、明治まではそのように呼ばれていたそうです。四阿山と並ぶと猫の耳に見えたことからその名が付けられ、後に転じて根子岳となったのだとか。面白いですね。
そして根子岳からの眺望。こちらも四阿山山頂に負けず劣らずの絶景です。
菅平牧場からはこちらまでのほうが登りやすいせいか、山頂には家族連れや団体さんなど色々な方が続々と登ってこられていました。
午前中には余裕で下山できることを確信したので、ゆっくり休憩がてら交信しようと思ったのですが、なんとバッテリー切れ。。。
久々に持ち出したので充電がカラだったようです・・・残念。
十分な休息を取り、山頂でご家族との談笑も楽しんだことなので、そろそろ下山することにしましょう。
空模様ははすっかり秋のそれですね。
下山直前に見つけた”はじめまして”の花、ハクサンフウロ。実物を見たのは初めてですが、なんと可憐な・・・最後に出会えてよかった!
菅平牧場が見えてきました。夜間に着いたのでわかりませんでしたが、実に牧歌的風景が広がっていたんですねー
牧場で食べたソフトクリーム。さすが牧場直結の売店、最高に美味でした。
売店では四阿山だけでなく、根子岳の山バッヂもあったので両方購入しました。
その後、車で撤収準備をしていたところ、長野県警の山岳救助隊の方々が先ほどの根子岳山頂付近の滑落連絡を受けてこれから入山するところでしたので、通過した時の状況をお伝えし、写真を何枚かお見せしました。あまり役に立つような情報提供ではなかったと思いますが、憧れの山岳救助隊の方々とお話ができてちょっと興奮してしまいました。。。
まとめ
車で日帰りアクセスするには結構な距離、天候も心配される中で訪れた百名山、四阿山。色々と不安な要素はありましたが、本当に来てよかった思えるお山。
開山1300年という節目に登れたのも何かのご縁。「やっぱり山はいいなぁ」と改めて実感することができた素晴らしい一日でした。
山行データ
- 出発時刻 / 高度: 04:42 / 1589m
- 到着時刻 / 高度: 10:40 / 1590m
- 合計時間: 5時間58分
- 合計距離: 12.38km
- 最高点の標高: 2315m
- 最低点の標高: 1571m
- 累積標高(上り): 893m
- 累積標高(下り): 877m
Reliveで山行振り返り
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